遺言には2つの側面があります。
ひとつは「文学的な意味での遺言」、もうひとつは「法律上の遺言」です。
文学的な意味での遺言
遺言、遺言書、遺言状など、呼び方はいろいろありますが、すべて『自分が死んだ後、残った親族に託す言葉』、『自己の生きてきた証として、最後の言葉』などとで説明できるでしょう。
そこには、故人が残された家族に対して『ああしなさい、こうしなさい」、「ああしてほしい、こうしてほしい」という言い付けや希望を述べるという意味合いが強くなります。
死の間際、集まった子供や親族に『太郎、お母さんと一緒に家を守っておくれ。次郎、太郎に協力しておくれ。』と語った言葉は一般に『遺言』と言われますが、法律用語としての遺言とは異なります。
法律上の遺言
一方、法律上の遺言とはどういったものでしょう。
法律上の遺言とは、民法に規定された形式に従って作成された文書のことです。
このように作成された遺言は、遺言者が死亡すると同時に効力が発生し、財産権が移転するなど、一定の法律上の効果が発生します。
文学的な意味の遺言は「希望」や「言い付け」に過ぎず、それに応えるか否かは相続人の勝手でした。しかし法律上の遺言の場合、一部例外を除いて遺言者の意思がそのまま実現します。
以後、このホームページの言う『遺言』とはすべて法律上の遺言をさします。
遺言者になれる者
満15歳以上でなければならない。
14歳以下の者は法律上有効な遺言をすることができません。
物事を理解する能力が無ければならない
物事を考えたり理解できる能力がある人だけが遺言をする事が出来ます。
成年被保佐人、成年被補助人は、その能力が「著しく不十分」、「不十分」とされていますが、「能力が無い」わけでは有りません。したがって、遺言をする事は可能です。
成年被後見人は、能力が「無い」とされていますので、遺言をする事が出来ません。
ただし、一時的に能力が回復している時は厳しい要件の元遺言をする事ができます。
成年被後見人の遺言要件
- 医師2人以上の立会いのもと、法律で定められた形式に従い文書を作成する事
- 作成した文書に、立ち会った医師が『遺言書作成時には能力が回復していた』ことを書き加え、署名・押印する事
2人で一通の遺言書は無効です。
夫婦が同時に遺言書を作成する場合には、必ず各自1通ずつ書いてください。
作成された遺言書を添削します
書式が有効であっても内容に不備があれば意味のない物になります。
書式、内容をチェックし、間違いない物にするだけではなく、遺言書を用いた手続きがスムーズになるよう添削します。